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岐阜地方裁判所 昭和41年(わ)114号 判決 1967年3月24日

本店所在地

岐阜市神田町九丁目一六番地

株式会社喜久家

(代表取締役 後藤喜久)

本籍

岐阜市神田町九丁目一六番地

住居

同市中新町二一番地の三

会社役員

後藤喜久

明治三三年一一月一日生

法人税法(旧)違反被告事件

検察官

北原外志夫 出席

主文

被告会社を罰金二〇〇万円に、

被告人を懲役四月および罰金八〇万円に

各処する。

被告人が右罰金を完納できないときは、一日を五、〇〇〇円に換算した期間、被告人を労役場に留置

する。

ただし、この裁判確定の日から一年間、右懲役刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、岐阜市神田町九丁目一六番地に本店をおき、パチンコ遊技場経営等を目的とする法人であり、被告人は、同社代表取締役であるが、

被告会社の昭和三七年四月一日から同三八年三月三一日までの事業年度における所得金額は、三、九四五万四、二三一円、その法人税額が一、四八三万二、九〇〇円であつたにも拘らず、被告人は、被告会社の業務に関し、パチンコ遊技料の一部、手形割引料の全部など収入の一部を公表帳簿に計上せず、簿外の架空名義預金や受取手形で留保するなどの不正行為により、所得の一部を秘匿した上、昭和三八年五月三一日、所轄岐阜北税務署長に対し、同事業年度における被告会社の所得金額は七七九万八、一四六円、その法人税額は二八〇万四、八一六円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、被告会社は同年度における法人税額のうち右申告額との差額一、二〇二万八、〇八〇円を免れた。

(証拠の標目)……算用数字は検察官請求証拠目録の請求番号

一、被告会社登記簿謄本(11)

一、大蔵事務官作成の証明書(12)

一、大蔵事務官作成の宮島信夫に対する質問てん末書(13、14)

一、宮島信夫の検察官に対する供述調書(15)

一、井上純子および井出賢各作成の普通予金元帳及び印鑑紙写(16、17)

一、加藤芳太郎作成の元帳及び印鑑紙写(19)

一、山本敬一作成の定期預金明細写(20)

一、野田育代、北村芳夫、吉田三蔵各作成の各定期預金明細書(21ないし23)

一、金子勇作作成の上申書および同人の検察官に対する供述調書(24・25)

一、井出賢作成の普通預金解約利息明細(30)

一、大蔵事務官作成の調査報告書(35)

一、松本良之助作成のユニツト投信分配金明細(37)

一、金山鎮夫作成の指定金銭信託記入帳(39)

一、井出賢作成の貸付信託収益金明細(40)

一、高橋八重子作成の各代金取立手形記入帳写(41ないし45)

一、山元忠夫作成の代金取立手形明細表(46)

一、大蔵事務官作成の調査報告書(47)

一、後藤咲子作成の各上申書(48、49)、同人の検察官に対する各供述調書(50、51)、同人に対する大蔵事務官作成の各質問てん末書(52ないし56)

一、被告人作成の各上申書(57ないし60)、被告人の検察官に対する各供述調書(61ないし64)、被告人に対する大蔵事務官作成の各質問てん末書(65、66、68ないし70)

(確定裁判)

被告人は昭和三九年八月六日、岐阜簡易裁判所において、道路交通法違反により罰金三、〇〇〇円に処せられ、右裁判は同月二一日に確定した(前科調書)。

(法令の適用)

被告人の判示所為は昭和二二年法二八号法人税法四八条一項に該当するが、これは前示確定裁判のなされた罪と刑法四五条後段の併合罪となるので、同法五〇条によりさらに処断することとし、所定刑期、罰金額範囲内で、被告人を懲役四月、罰金八〇万円に処し、同法一八条により、被告人が右罰金を完納できないときは、五、〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置し、同法二五条一項一号により、この裁判確定の日から一年間、右刑の執行を猶予し、被告会社については、前記法人税法五一条一項により、その所定罰金額の範囲内で罰金二〇〇万円に処することとする。

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 米田泰邦)

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